老後を考えた住まいの環境について

一生のうちに何度も住宅を買い替えるという人はそれほど多くありません。一戸建て住宅を購入する際は、多くの人がその場所に長く住むことを想定します。つまり、購入した住宅は、老後の住まいとしても利用することになる可能性が高いのです。そこで、今回は老後を想定した住まい選び、住まい作りについてご案内します。

老後の周辺環境を考えた住まい選び

若い時代に住みやすい環境と、老後に住みやすい環境というのは、少し違ってきます。

にぎやかな歓楽街があり、娯楽施設が立ち並ぶ地域は、若いころには住みやすくても老後の住まいとしてはあまりふさわしくありません。老後は車の通りが少なく、安心して歩ける地域のほうが住みやすいです。

また、若いころは飲み屋やレンタルビデオ店が近いことが重要ですが、老後はスーパーや郵便局など、日々の生活に欠かせないスポットが近いことのほうが重要です。年を取ると重いものを運ぶのがきつくなるので、各種宅配サービスの利用可能地域であるかどうかといったことも大切なポイントです。老後のことを考えるのであれば、移動しやすく、安全で健康的な生活ができる地域を選ぶことをおすすめします。

老後にも優しい住まい作り

年齢が高くなると、ちょっとした段差や階段の上り下りなどが大きな負担となります。
二階建て以上の住宅の場合、一階だけで日々の生活は送れるように工夫しておいたほうがよいでしょう。例えば、掃き出し窓から降りた場所に物干しスペースを作っていたり、クローゼットを一階に設けておいたりといった工夫です。

リビングやダイニングが二階にあるタイプの住宅も流行っていますが、老後の事を考えた建築計画を建てる方も増えてきており、平屋での建築も人気が上がってきております。

また、部屋の入口や廊下などに細かい段差があるような住宅の場合、つまずいてしまう恐れもあります。老人になると、ちょっとした転倒も大けがに繋がりますから、なるべくバリアフリーを意識した住まい作りを心がけておくことをおすすめします。

老後も安心できる寝室、浴室、トイレの設計

浴室とトイレというのは、暮らすために絶対に必要な設備です。将来車イスを利用するようになったり、杖をついて移動することになったりといった状況にも対応できるよう、各スペースはある程度広めに設計を行う方もいらっしゃいます。また、後から手すりをつけるということもありますので広めのスペースが必要です。

寝室に関しても同様で、介護用ベッドを導入することになってもしっかりと対応できるだけの広さが必要となります。また、老後、あまり大きな移動をせずに日々を過ごせるようにするために、寝室で食事を摂るようになる可能性もあるので、そのためのスペースも確保しておいたほうが安全です。様々なケースを想定して、柔軟な対応が取れるようにしておくとよいでしょう。

一戸建て住宅を購入する際は、子どもの成長だけでなく、自身の老後についてもしっかりと考えておく必要があります。老後、不便なく安心して暮らすためにも、ある程度幅を持たせた住まい作りをおすすめします。