地震で倒壊しやすい建物の特徴は?耐震基準や倒壊を防ぐ対策を解説
- お役立ちコラム
7月28日に発生した「令和8年熊本地震」により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
今回の地震を受け、ご自宅の耐震性や、これから建てる住まいの安全性について、改めて考えている方もいらっしゃるかと思います。
地震による建物の被害には、建築時に適用された耐震基準だけでなく、建物の劣化や屋根の重さ、壁の配置、基礎・地盤など、さまざまな要因が関係します。
この記事では、住まいの安全性を考える際の参考となるよう、地震で倒壊しやすい建物の特徴や耐震基準の違い、自宅の確認方法、倒壊を防ぐための対策について解説します。
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地震で倒壊しやすい建物の特徴

「古い家だから危ない」と思っていませんか?実は、地震による倒壊リスクは築年数だけで決まるものではありません。
建物の傷み具合や屋根の重さ、壁の配置、建物の形や足元の地盤など、さまざまな理由が関係しています。
ご自宅の耐震性をチェックするために、まずは倒壊リスクを高める主な特徴を確認していきましょう。
築年数が古く、旧耐震基準で建てられている
築年数が古い住宅では、建てられた当時の耐震基準を確認することが重要です。
特に、1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物には「旧耐震基準」が適用されています。1981年6月以降の新耐震基準とは、大規模な地震に対する考え方が異なるため、自宅の耐震性を確認する際の一つの目安となります。
ただし、古い建物が全て地震に弱いわけではありません。築年数だけで判断せず、適用された耐震基準や現在の建物の状態も併せて確認することが大切です。
柱・梁・土台が劣化している
柱や梁、土台など建物を支える部分が劣化すると、地震の揺れを受けた際の被害が大きくなる可能性があります。
築年数の経過による木材の腐朽や接合金物の錆びなどに加え、木造住宅ではシロアリによる被害にも注意が必要です。柱や土台が食害を受けると、外からはわかりにくい場所で建物の骨組みが弱くなることがあります。
建物の耐震性を考える際は、新築時の性能だけでなく、その後の劣化やメンテナンス状況にも目を向けましょう。
屋根が重い
屋根の重量が大きい建物は、地震時に建物へかかる負担も大きくなる傾向があります。
建物の上部が重くなると重心が高くなり、地震による揺れの影響も受けやすくなるためです。特に築年数の古い木造住宅では、屋根の重さと耐震性の不足が重なることで被害が大きくなる場合があります。
ただし、瓦屋根だから地震に弱いと一概には言えません。屋根の重量も踏まえ、建物全体で必要な耐震性が確保されているかが重要です。
壁が少ない・配置に偏りがある
地震の横揺れに抵抗する「耐力壁」は、量だけでなく配置のバランスも重要です。
耐力壁が不足していたり、一方向や一部分に偏っていたりすると、地震の力が特定の場所に集中し、建物がねじれるように変形する可能性があります。
例えば、大きな窓が多い住宅や1階に大きなガレージがある住宅、大きな吹き抜けがある住宅などでは、設計に応じて壁や床の配置を考える必要があります。
こうした間取りがあるだけで地震に弱いわけではなく、建物全体で耐震性が確保されているかを確認することがポイントです。
建物の形状や上下階のバランスが悪い
建物全体の形状も、地震による力のかかり方に影響します。
例えば、L字型やコの字型など凹凸の多い建物では、正方形や長方形のようなシンプルな形状と比べて、地震の力が角や曲がり部分に集中することがあります。
また、1階と2階で柱や耐力壁の位置が大きくずれている場合も、床や梁などへ負担がかかる可能性があります。
複雑な形状や開放的な間取りを取り入れる際は、デザインだけでなく、建物全体で地震の力を受けられるよう設計されているかを確認することが大切です。
基礎や地盤に問題がある
建物を支える基礎や地盤の状態も、地震による被害の大きさに関わります。
古い木造住宅では、石の上に柱を載せる「玉石基礎」が使われている場合があります。また、地震による揺れの大きさは地盤の状態にも左右されるため、軟弱な地盤では建物への影響が大きくなることがあります。
住まいの安全性を確認する際は、建物そのものだけでなく、基礎の状態や建築時に地盤に応じた対策が行われているかも確認しましょう。
耐震基準(旧耐震・新耐震・2000年基準)は何が違う?特徴と倒壊率の違い

住宅の耐震基準は、過去の大地震による被害を踏まえて改定が重ねられてきました。特に大きな節目となったのが、1978年の宮城県沖地震を機に見直された1981年の「新耐震基準」と、1995年の阪神・淡路大震災を受けて強化された「2000年基準」です。
ここでは各基準の特徴の違いと、実際の被害データからわかる倒壊率の違いについて解説します。
旧耐震基準(1981年5月31日以前に建築確認)
旧耐震基準は、震度5程度の中規模地震に対して、建物がほとんど損傷しないことを想定した基準です。震度6強から7程度の大規模な地震に対して、倒壊・崩壊しないことを確認する考え方は盛り込まれていませんでした。
なお、ご自宅が旧耐震基準に該当するかを確認する際は、建物の完成日ではなく「建築確認を受けた日」が1981年5月31日以前かどうかで判断する必要があります。
※参照:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」
※参照:東京都都市整備局「東京における住宅団地の状況と再生に向けた取組について」
新耐震基準(1981年6月1日以降に建築確認)
1978年に発生した宮城県沖地震の被害を教訓に導入されたのが新耐震基準です。
震度5強程度の地震では建物がほとんど損傷せず、震度6強から7程度の大規模な地震であっても、人命に関わる倒壊や崩壊を防ぐことを目標としています。
ただし、大規模な地震を受けても建物が無傷で済むことを保証するものではなく、建物自体の損傷を完全に防ぐ基準ではない点にも理解が必要です。
※参照:国土交通省 四国地方整備局「住宅の耐震診断・耐震改修推進のための戸別訪問マニュアル(案)Q&A集」
2000年基準(2000年6月1日以降に建築確認)
1995年の阪神・淡路大震災では、新耐震基準で建てられた木造住宅にも被害が出たことから、2000年に木造住宅に関する規定がより強化されました。
新耐震基準の考え方を引き継ぎつつ、地盤の強さに応じた基礎に関する規定や、耐力壁の配置バランスの数量化、柱や土台などの接合部に関する規定が設けられました。
※参照:国土交通省 四国地方整備局「住宅の耐震診断・耐震改修推進のための戸別訪問マニュアル(案)Q&A集」
熊本地震・能登半島地震から見る耐震基準別の倒壊率
適用されている耐震基準によって、大地震が発生した際の被害状況には明確な差が出ています。
2016年の熊本地震では、旧耐震基準の建物の倒壊率が約28.2%だったのに対し、新耐震基準(1981年6月〜2000年5月)では約8.7%、2000年基準(2000年6月以降)では約2.2%まで減少しました。益城町中心部で住宅性能表示制度を活用して耐震等級3を取得していた16棟では、倒壊が1棟も確認されませんでした。
また、令和6年能登半島地震の特定地区における調査でも、旧耐震基準の倒壊・崩壊率が約19.4%であったのに対し、新耐震基準では約5.4%、2000年基準では約0.7%という結果が出ています。
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建築時期・基準 |
熊本地震 |
能登半島地震 |
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旧耐震基準(1981年5月以前) |
約28.2% |
約19.4% |
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新耐震基準導入後(1981年6月〜2000年5月) |
約8.7% |
約5.4% |
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2000年基準以降(2000年6月以降) |
約2.2% |
約0.7% |
このように新しい基準になるほど倒壊率は低くなり、安全性が高まっていることがわかります。
ただし、実際の被害は建物の老朽化や地盤の状態にも左右されるため、建築時期や基準だけで完全な安全を判断することはできません。
ご自宅の安全性が気になる場合は、現在の建物の状態も含めた耐震診断を検討することをおすすめします。
※参照:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書第3章」
※参照:国土交通省「令和6年能登半島地震の建築物構造被害について」
自宅の倒壊リスクを確認する方法

ここまでに紹介したリスクや耐震基準を踏まえ、ご自宅の安全性を確かめるための具体的な確認手順を解説します。自分で確認できる範囲には限りがあるため、最終的には専門家の診断を受けるのがおすすめです。
Step 1:書類で「建築確認を受けた日」を調べる
まずは、自宅がどの耐震基準で建てられたのかを正確に把握します。
手元にある確認済証や検査済証などの書類から、建築確認や建築時期を確認しましょう。1981年6月や2000年6月は、適用されている耐震基準を確認する際の一つの目安となります。
Step 2:自分でできる「建物のセルフチェック」を行う
次に、現在の建物に危険なサインが出ていないか目視で確認します。
外壁や基礎に目立つひび割れはないか、ドアや窓の開閉がスムーズか、床に傾きを感じないかといった点が主なチェック項目です。
また、木造住宅の場合は、床下の湿気による土台の腐食やシロアリ被害の有無も重要なポイントとなります。
Step 3:不安がある場合は「専門家の耐震診断」を受ける
書類の確認やセルフチェックで少しでも不安が残る場合は、耐震診断の専門家に相談しましょう。
耐震診断では、建物の構造や壁の配置バランス、基礎の強度などを数値化して安全性を客観的に評価してくれます。現在の正確なリスクがわかることで、今後どんな補強や耐震改修が必要なのかを具体的に検討できるようになります。
地震による建物の倒壊を防ぐための対策

自宅の耐震性を確認したら、建物の状態に合わせて対策を考えます。
既存住宅では耐震補強や劣化部分の補修、新築・建て替えでは耐震等級や構造安全性の確認がポイントです。
既存住宅は耐震補強や劣化部分の補修を行う
既存住宅で耐震性が不足している場合は、建物の状態に応じた補強や補修を検討します。
例えば、壁や梁の配置を見直して建物全体のバランスを整える、屋根材を軽量化して建物上部の重量を抑えるといった方法があります。シロアリ被害などで柱や土台が傷んでいる場合は、駆除と併せて劣化部分を補修する方法もあります。
必要な工事は建物によって異なるため、耐震診断の結果などを踏まえながら検討しましょう。
新築・建て替えでは耐震等級を確認する
新築や建て替えでは、住宅の耐震性能を示す「耐震等級」も確認したいポイントです。
耐震等級は1〜3の3段階に分かれており、数字が大きいほど高い耐震性能を示します。
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耐震等級 |
耐震性能の目安 |
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耐震等級1 |
建築基準法が求める耐震性能に相当 |
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耐震等級2 |
耐震等級1で想定する地震力の1.25倍に対して倒壊・崩壊等しない程度 |
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耐震等級3 |
耐震等級1で想定する地震力の1.5倍に対して倒壊・崩壊等しない程度 |
耐震等級3は、3段階のうち最も高い等級です。
2016年の熊本地震では、震度7が2度観測された益城町中心部の悉皆調査エリア内において、耐震等級3の木造住宅16棟のうち14棟(87.5%)が無被害、残る2棟も軽微または小破でした。
国土交通省は、大部分が無被害だった背景として、壁量を多く確保するなど、より高い耐震性を確保していたことを挙げています。
ただし、耐震等級3であっても、大きな地震で建物がまったく損傷しないことを意味するものではありません。新築時はどの耐震等級を確保するのかと併せて、構造の安全性をどのように確認しているかにも目を向けましょう。
※参照:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書」
壁量計算と許容応力度計算の違いを確認する
木造住宅の構造安全性を確認する方法には、壁量計算による方法や、許容応力度計算などの構造計算があります。
壁量計算では、地震や風に抵抗するために必要な壁量などを確認します。2025年4月からは、省エネ化などによる建物の重量化に対応するため、建物の仕様に応じて必要壁量を算定する基準へ見直されました。
一方、許容応力度計算では、柱や梁、壁などの各部材にかかる力を計算し、それぞれが地震や風などに対して必要な強度を確保しているかを確認します。
新築住宅を検討する際は、耐震等級だけでなく、どのような方法で構造安全性を確認しているのかも住宅会社に確認してみましょう。
※参照:国土交通省「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準について」
地震への備えと家族の想いをカタチにした家づくり実例
住まいに求める「安全性」や「理想の暮らし方」は、ご家族ごとに異なります。
熊本の注文住宅メーカー「アイ-ウッド」ではこれまで、耐震性を最優先に新築されたお客様や、2016年の熊本地震を経て住まいを再建されたお客様など、多様なご家族の家づくりをお手伝いしてまいりました。
ここでは、万が一への備えとご家族それぞれの想いをどのようにカタチにされたのか、3つの建築実例を通してご紹介します。
耐震性を重視して建てた開放的な平屋|熊本市北区T様邸

熊本市北区のT様が家づくりで大切にされたのは、「災害にも強く、家族を守ってくれる家」であることでした。
アイ-ウッドの展示場で、熊本地震の際の記録や資料、実際の構造を見ながら耐震性について説明を受け、「なぜ地震に強いのか」を納得できたことが依頼の決め手になったそうです。
完成した住まいは、勾配天井を取り入れた開放的な平屋です。耐震性を重視しながら、家事動線や収納など日々の暮らしやすさにも配慮されています。
熊本地震をきっかけに建て替えた三世代二世帯住宅|菊池市N様邸

菊池市のN様邸は、2016年の熊本地震で以前の住まいが半壊認定を受けたことをきっかけに、建て替えを計画されました。
新しい住まいでは、地震や強風などの自然災害への備えを重視。価格と性能のバランスなども比較しながら住宅会社を検討されました。
新居は三世代が暮らす二世帯住宅で、家族それぞれの好みを取り入れながら、小上がりの和室なども設けています。
以前の住まいの面影を残して再建した平屋|宇土市I様邸

宇土市のI様は、2016年の熊本地震で以前の住まいが大規模半壊にあったことで、同じ平屋への建て替えを決められました。
以前の家は築約60年で、ご家族にとって愛着と思い出の詰まった住まいでした。また、ご両親が高齢であることから、生活環境を大きく変えないよう、以前の雰囲気や間取り、動線をできるだけ残すことを希望されました。
新居では以前の住まいの面影を受け継ぎながら、キッチンから水まわりへの動線や収納を見直し、寝室に近いトイレ、玄関の手すりやスロープなども取り入れています。
熊本で地震に備えた家づくりなら「アイ-ウッド」

地震による建物の被害には、耐震基準だけでなく、建物の劣化や屋根の重さ、壁の配置、建物の形状、基礎・地盤など、複数の要因が関係します。
現在の住まいについて不安がある場合は、まず建築時期や建物の状態を確認し、必要に応じて専門家による耐震診断を受けることが大切です。
これから新築や建て替えを考える場合は、耐震等級だけでなく、構造や地盤・基礎なども含めて、住まいの安全性を確認していきましょう。
アイ-ウッドは、熊本で50年以上にわたり、約8,000棟の家づくりに携わってきました。耐震等級3への対応をはじめ、繰り返す地震に備える「Z耐震」や、木造で耐震性に配慮しながら大空間を実現する「SE構法」などを取り入れ、住まいの安全性を考えた家づくりに取り組んでいます。
地震で倒壊しやすい建物に関するよくある質問

地震への備えを考えるなかで、「どのような家に注意が必要なのか」「震度7でも倒壊しない家はあるのか」と気になる方もいるでしょう。ここでは、地震による建物の倒壊や耐震性に関するよくある質問に回答します。
地震で壊れやすい家の特徴は?
地震による被害が大きくなる可能性があるのは、古い耐震基準で建てられているほか、建物の劣化や壁の不足・配置の偏り、屋根の重さ、基礎・地盤などに問題がある住宅です。
特に1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた住宅や、柱・梁・土台に腐朽やシロアリ被害がある住宅では、現在の耐震性を確認しておくことが大切です。
ただし、一つの特徴だけで建物の安全性を判断することはできません。築年数や構造、劣化状況、地盤などを総合的に確認し、不安がある場合は専門家による耐震診断を検討しましょう。
震度7でも倒壊しない建物は?
震度7の地震でも絶対に倒壊しないと保証できる建物はありません。ただし、現在の新耐震基準では、震度6強〜7程度の大規模な地震に対して、人命に危害を及ぼすような倒壊・崩壊を生じさせないことを目標としています。
また、耐震等級3は、耐震等級1で想定する地震力の1.5倍に対して倒壊・崩壊等しない程度の性能を示す最高等級です。
ただし、耐震基準や耐震等級は建物がまったく損傷しないことを保証するものではありません。地盤や基礎、構造設計なども含めて地震への備えを考えることが大切です。
地震に一番強い構造は?
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)のうち、どの構造が一律に「地震に一番強い」とは言い切れません。地震への強さは構造の種類だけでなく、適用された耐震基準や耐震等級、建物の形状、壁や柱の配置、接合部、基礎・地盤などによって異なります。
そのため、新築住宅を検討する際は「木造だから弱い」「RC造だから強い」と構造だけで判断するのではなく、どの程度の耐震性能を確保し、どのような方法で構造の安全性を確認しているかまで見ることが重要です。
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